唾液の働き
2023年11月14日
唾液(つば)のことを普段意識することは少ないかもしれません。しかし、唾液にはさまざまな働きがあり、口の中の健康を守っています。また、食べる・話すといった口の機能にも大きく影響するため、唾液が減ると口の中だけでなく体のさまざまな機能に悪影響を及ぼします。
上質な唾液を分泌することは、口の中の健康、さらには全身の健康、QOLの向上につながります。
唾液とは、唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺という3つの大きな唾液腺があります)から口腔内に分泌される分泌液であり、水分だけでなく電解質や酵素などを含みます。唾液の分泌量は1日1リットル~1.5リットルと言われていますが、個人差があり、健康状態や年齢、性別などによっても違いがあります。
また、唾液の質にも個人差があります。口の中の酸を中和する作用(唾液緩衝能)が低いと虫歯に罹りやすくなり、唾液の質が虫歯にも影響しています。
唾液の驚くべき効果
◯食べ物を飲み込みやすくする
唾液にはムチンというたんぱく質が含まれているため粘性があり、食べ物が塊になりやすく、嚥下がスムーズになります。
◯味を感じやすくする
舌の上には「味蕾(みらい)」という味を感じる器官があり、味物質が唾液に溶けて味蕾で味として感じます。そのため、唾液が十分に分泌されていないと、本当の味が感じられません。
◯消化酵素としての働き(消化作用)
唾液の中には、「アミラーゼ」という消化酵素が含まれています。アミラーゼには、デンプンを分解して吸収をスムーズにする働きがあります。
◯殺菌作用
唾液には口の中の細菌の働きを抑制して、病気を防ぐ働きがあります。口の中に存在する、虫歯・歯周病の原因細菌はもちろん、外から入ってくるウイルスなどの働きを抑えます。代表的なものにリゾチームという酵素があります。 これは細菌の細胞壁という組織を壊し、細菌の増殖を防ぐのに働きます。 リゾチームは細胞壁を持っている多くの細菌に働いてくれる抗菌性をもっています。
◯再石灰化の促進(再石灰化作用)
細菌が作り出した酸によってエナメル質の成分が溶け出しますが(脱灰)、唾液に含まれるミネラルがそれを修復し、元の状態に戻します(再石灰化)。
◯酸性に傾いた口腔内環境を中和する(緩衝作用)
食事をすると、口の中が酸性に傾いて脱灰が起こりやすくなりますが、唾液によって酸が中和されることで脱灰を防ぐことができます。
◯口の中を清潔にする働き(自浄作用)
唾液には、食べカスなどの口の中に残った汚れを洗い流す働きがあります。十分に唾液が分泌されていれば、口の中を清潔に維持できます。
唾液が減少すると
何らかの原因で唾液の分泌量が減少すると、唾液の持つさまざまな効果が得られなくなります。そのため、食べ物が飲み込みにくくなったり、口の中がネバネバしたり、口が動かしにくくなったり、自浄作用が減少したりといったさまざまな症状が出てきます。
また、虫歯や歯周病に罹りやすくなり、口臭が強くなる原因にもなります。
気になる症状があればお気軽にお問い合わせください。